新島繁さんという方の、「蕎麦の事典」を読んでみました。
”事典”なので、読んでみた、というのも違うかもしれませんが、一通り通して読んでみました。
これだけたくさんのことを調べて、まとめて、本にして、すごいなー。
そば通になった気分です。
ちなみに、辞典と事典の違いを調べてみました。
辞典は意味や発音、文法や例文などを解説したもの。
事典は事物や事柄の内容を詳しく解説したもの、です。
蕎麦関連の資料を収集して、読んだり、調べたりするのが、ライフワークのようで、その情熱が伝わってきます。
この本を読んだだけではわかりませんでしたが、ご自身でそば屋さんを経営されていたようで、そば打ちをされていたのか、それとも、他の方に任せていたのか。
この方は研究者で、私はそば打ちなので、いちいち比べられませんし、上げ足をとるつもりもありませんが、どんなそばを出すのかは気になりますし、そば打ちに関してどのような考えを持っているのか、お話を聞いてみたかった。
事典なので、特に感想もないですが、読んでいて気になったことがありました。
かえし[返し]のページ。
「醤油と砂糖を混ぜ合わせたものをいう。
醤油を”煮返す”ことからきた言葉といわれるが、この考案の時期や場所は不明。
...そば店では一般的にかえしにだしを合わせてそば汁を作る。」
と書いてあります。
ふと、友蕎子さんの精進汁を思い出しました。
あの精進汁が「かえし」の始まりなのではないかと思い、以前やってみた方法で、もう一度やってみました。
しょう油180㏄、酒72㏄、水72㏄を1時間だと長すぎるので、10分くらい”煮返し”ました。
ちょっと一口、「うまい」。
お酒のアルコールも飛んでいて、10分で大丈夫、いい具合です。
作った精進汁(かえし)50㏄に、当店のだし250㏄を加えて、火を通して、なまぐさ汁(もりつゆ)にしてみます。
ちょっと一口、「うまい」。
かえし20%で少し薄いかと思いましたが、前回失敗してるので、恐る恐るです。
当店のもりそばと十割そばで、試食してみました。
結果は、どちらのそばにも合いませんでした。
そばはおいしかったけど、つゆはいまいちでした。
つゆだけだと、結構おいしかったので残念ですが、江戸時代にこれだけのそばつゆを出せれば大したものだと思います。
生臭いといわれるとかなわないなー、ちゃんともりつゆになってます。
少し精進汁(かえし)を寝かせると、しょう油の角が取れてまろやかになるかもしれませんし、だしを変えればもう少し良くなりそうな気もします。
しょう油に、みりんや砂糖を加えれば良くなると思いますが、そうすると、今作っているかえしと変わらなくなってします。
ということは、やっぱりこの精進汁が「かえし」の始まりかもしれません。
なんてことを思いめぐらせてます。