三たて、そば好きの方は見たり聞いたりすることがあるかもしれませんが、挽きたて、打ちたて、茹でたてのことです。
今日は「打ちたて」について考えてみたいと思います。
当日打ったものと、昨日打ったものと比べてみます。そりゃ当日打ったほうが美味しいに決まっているんですが、ほんとにそうなのか、どう違うのか実際にやってみます。
そば粉にはでんぷんが含まれていて、それが熱湯に反応して糊の状態になることをα化(アルファ化)といいます。そばをゆでるとつながるのはそのα化が起こるからです。ゆでる前の生の状態では、水でつながっているだけです。そば粉の小さい粒々一つ一つを水でつないでいるわけです。なんだか不思議です。
それが時間がたつとβ化(ベータ化)といって…。もう難しい話はやめまして、要するに時間がたつとそばが劣化してしまいます。
昨日のそばは色がくすんで、ボツボツ、味も香りもぼやけてしまっている。
これだけ出されれば、こういうものかと思って美味しく食べられますが、打ちたてのそばと並べて出されると、食べられないかもしれない。
やっぱり99%打ちたてが美味しいです。ただ残りの1%があります。
それがうちの田舎そば。少し時間を置いた方が、風味が増します。短くなって、少しえぐみも増すので、好みが分かれると思いますが、ガツンと強烈なそばが食べたい方には美味しいと思います。
短くなってしまうのであまりやりませんが、たまに半日くらい冷蔵庫で寝かせたものを出します。いろいろ研究中です。
おまけ。
田舎そばに切れ端をつけますが、あれを始めたきっかけがありまして。
お店を開店してすぐの頃、そばの中の何かを探しているお客さんがいて話かけてみると、そばの”みみ”はどこにあるんだと聞かれました。
秩父でそばを打つ方は”みみ”も一緒に茹でて食べてしまうそうです。
それをヒントに田舎そばには秩父の田舎っぽさを出すために切れ端をのせるようになりました。
お客さんにはいろんなことを教えていただけます。感謝感謝です。